フォトトランジスタを使う

 「蛍光灯がついているかどうかを調べる機器を作る」ことになりました。 とっても簡単だと思ったのですが、結構が奥がフカイ・・・


明るさを検知するには

 蛍光灯がついているかどうかを調べるには、明るさを検知すれば良いでしょう。 まあ、蛍光灯が点灯するために流れている電流を調べるということもできますが、 蛍光灯が壊れた時に、どのような電流になるのか判らないため、問題があると言えます。

 昔なら、CDSセンサーを使ってやることになったのだと思うのですが、 CDSには、なんちゃらカドミウムが使用されているらしくイメージがよろしくありません。 そこで、今回はフォトトランジスタを使用します。 ネットで調べてみると、普通のトランジスタを削って、光が入り込むようにし、 フォトトランジスタとして使用するという「荒業」もあるようですが、 仕事に使うのには、ちょっと無理がありますね。

適当なフォトトランジスタ

 さっそくデータブックやら、ネットで入手しやすく、感度の良い、それでいて安いフォトトランジスタを探します。 しかし、どうもデータシートを見ているとピーク波長800nmなんてことが書いてあります。 中には900nmのものも。これは赤外線領域なので、通常の明かりを測るには向いていないのではと心配になります。 しかし、さらに調べてみると「可視光線カットフィルタ付」なんて記述も出てきます。 これは赤外線通信を行うために可視光線の影響を受けにくくするフィルタがついているということでしょう。 とすると、フィルタなしなら、可視光線に反応してくれるのかもしれません。 でも、データシートには、最低の波長、最高の波長、感度のグラフの記述がないものもあります。 おまけに入手性がとても悪い。

 結局、(普段あまり使いたがらない)東芝製のTPS601A、TPS615が候補として残りました。 東芝は、個人的には好きなメーカーではないのですが、電子部品によっては、2SC1815など、 不動の地位を築いているものも少なくありません。

TPS601AとTPS615の動作


実験に用いた回路

 さっそく部品を購入して試験しました。 フォトトランジスタは、受ける光の量によって流れる電流が変化します。 これを測定するために負荷となる抵抗を介して、電源に接続します。 回路を見ているとフォトトランジスタの抵抗が変化して電圧を分圧して取り出しているようにも見えますが、 そうではないそうです。

種類部屋での出力電圧Vout
TPS601A0.385v
TPS6154.22v
Vcc=9.0vでの出力電圧

 この実験で見る限り、TPS615のほうが同じ明るさで電流を沢山流すようです。 ただ、センサーの方向や明るさを厳密に同じにしたわけではないので、大体といったところです。 価格的にもTPS615が4分の1くらい(TPS615は、2007年5月現在50円で入手可能)なので、 今回はTPS615を使用することにしましょう。

IOポートにつなぐ

 この出力がある閾値(しきいち)になったらONになるように加工して、 マイコンの入力ポートに接続します。今回はH8やPICではなく、パソコン上にIOボードを接続して入力します。 ボードには、インターフェース社さんのPCI−2826CVを使用することにします。

 するとまず、この信号を「ある閾値でHまたはLとする」回路が必要です。 このような判断をするのにコンパレータというものを使用します。 コンパレータとはオペアンプの一種で、比較用に特化したものです・・・ なんて書いていますが、私、この実験をするまでオペアンプとコンパレータの違いについて理解していませんでした。 コンパレータ紹介の文章には、決まって「オペアンプの一種で比較用に特化した・・・」的な記述があります。 今回使用したコンパレータは秋月電子での価格が魅力のLM339ですが、このチップ、出力がオープンコレクタです。

 マイコンやTTLIC(絶滅危惧種)では一般的なオープンコレクタですが、 アナログICの世界にもあるんですね。 というよりも、コンパレータとは、アナログ-デジタル変換ICというほうが良いかもしれません。 変換精度1ビット(!)参照電圧入力可能な、出力オープンコレクタのADコンバータです。 実は、ろくにデータシートも読まずにブレッドボードに回路を組んで簡単な実験をしていました。

LM339実験

 サクサクとつないで、VCCとGNDの抵抗値のみテスターで測定して、電池つないで電源ON。 その時点では写真のLEDはまだついていませんでした。 出力電圧を測定すると300mV〜400mVくらいでフラフラしています。 最初、「あー、やすもんのコンパレータで壊れているのか」と思いました。(おいおい) でデータシートを見ると、「オープンコレクタ」との記述を発見。

 考えてみれば当たり前の話で、比較した後、出力をデジタルで使う目的のICですから、 いろいろな電圧にインターフェースがとり易いオープンコレクタが正解ですよね。 ただ、オペアンプの勉強をしていると、正帰還に負帰還と、出力電圧があることが前提なので、 まさか、ハイインピーダンスになるとは想像しておりませんでした。

 余談ですが、このIC、ピン配置にも味があります。 ちょっと見ると、なんでこんな配置なんだろうと思います。 でも、4回路のコンパレータを使うということは、大量の比較課題があるシーンが想定されるわけです。 その時、基板上にズラっと並べて使いやすいように、入力側、出力側を分ける。 その間に電源を持ってくる。 最近、理不尽なピンアサインのLSIを多く見る中、なかなか見せるデータシートでした。

 撮影した回路(回路図ありません、すいません)で、左上にあるLEDかなと思わせる素子がTPS601Aです。 この上に手をかざし、光を遮るとLEDが点灯します。 この回路は実験用で、抵抗値は手持ちから適当。データシートを見ずにLEDを直接ドライブ。 という無謀なものですから、マネしないでください。


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