良いトランジスタを探す

 アマチュア工作界でのトランジスタ王者は、間違いなく2SC1815でしょう。 秋月電子が設定している衝撃的な価格と、取り扱い記事の豊富さが、その地位を不動のものにしています。 しかし、コレクタ電流が150mAなので、これを超える用途に使うためには回路的に細工するか別のトランジスタを探さなければなりません。

このページ情報は各データシートを元に書いています。 何か問題があっても当方では責任を負いません。


トランジスタ界における、右ハンドル車と左ハンドル外車

 2SC1815足は、1番ピンから、エミッタ・コレクタ・ベースです。 回路図から直感的に理解できるのはエミッタ・ベース・コレクタの順なのですが、なぜかこのような配置になっています。
 一方、海外で安い半導体を探すと、エミッタ・ベース・コレクタ順のものが多く、 ユニバーサル基板での製作でも混乱しますし、プリント基板を作った場合には差し替えが利きません。 まるで、左ハンドルと右ハンドル車のように、海外製と日本製で違いがあるのです。 ここでは、LED点灯回路を企画した時に探した2SC1815ピン互換で電流の流せそうなトランジスタのスペック比較を行います。

フェアチャイルド社製トランジスタに道あり

 トランジスタをコレクタ電流250mA〜1A、2SC1815と同じサイズ(TO92[トランジスタアウトライン])で検索すると、 チェアチャイルド社のトランジスタが結構見つかります。 この中のほとんどが「左ハンドル仕様」つまり、E−B−C配列なのですが、中にはE−C−B配列の物もあります。 もっと探せば、まだまだありそうなのですが、ひとまず見つけた3品種について主要スペックを書きます。

内容 KSC2001 KSC2331 KSC2383 2SC1815
(参考)
最大定格
コレクタ・ベース間電圧(VCBO) 30V 80V 160V 60V
コレクタ・エミッタ間電圧(VCEO) 25V 60V 160V 50V
エミッタ・ベース間電圧(VEBO) 5V 8V 6V 5V
コレクタ電流(IC) 700mA 700mA 1,000mA 150mA
ベース電流(IB) 150mA (不明) 500mA 50mA
コレクタ損失(Pc) 600mW 1,000mW 900mW 400mW
電気特性
直流電流増幅率(hFE) 200〜400
(G)
120〜240
(Y)
160〜320
(Y)
200〜400
(GR)
トランジション周波数(fT)最小 50MHz 30MHz 20MHz 80MHz
サイズ
外形 TO92 TO92L TO92L TO92
基板実装時高さ 4.8mm(MAX) 10.1mm(MAX) 10.1mm(MAX) 6.5mm(MAX)

高さまで互換性アリ。KSC2001

 パッケージはTO92なので2SC1815が入っていた場所なら必ず入ります。 リード形状の差で、基板上の高さは多少下がります。 ただ、VCBO,VCEOとも耐圧が下がりますので、 2SC1815を耐圧付近で使用している場合は差し替えできません。 12ボルトまでの電源で使用しているなら、まず問題ないでしょう。 コレクタ電流は700mAまで流せるようです。

1アンペア流せる。KSC2383

 パッケージはTO92Lなので2SC1815より実装時高さが3.5mmほど高いです。 あと周波数も低いですが、それでも20MHzあります。
後は、VCBO=VCEO=160v。 コレクタ電流1アンペアと、スゴい数字が並んでいます。

(2008-07-13追記)
TO-92Lは、TO-92に比べて、幅(円柱の直径になる方向)が平均で0.9mmほど大きいです。 TO-92は5.0mmでTO-92Lは5.9mmです。 これが問題になることは少ないとは思いますが、熱結合などの目的でクリアランス0の基板では問題になる可能性があります。

トランジション周波数160MHzの良いトランジスタ見つけました。


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